〒963-8061 福島県郡山市富久山町福原字境田50-2
和名: コガタスズメバチ
学名: Vespa analis
英名: Yellow-vented hornet
分類: ハチ目 スズメバチ科 スズメバチ属
分布: 北海道,本州,四国,九州,佐渡,対馬,屋久島,大隅諸島,奄美大 島,加計呂島,与路島,徳之島,沖縄本島,石垣島,西表島
体長は、女王蜂で25~30mm、働き蜂で22~28mmあります。飛んでいる姿は、黒っぽく見えます。頭の全体が橙色で、はげ上がった頭のように見えます。
オオスズメバチと姿と形がそっくりですが、体長はオオスズメバチよりも小さいです。また、コガタスズメバチと言ってもキイロスズメバチよりも体長は大きいです。
春先に越冬を終えた女王蜂は、単独で逆とっくり型という特徴的な巣(初期巣)を作ります。初期巣は、1枚の外被でできていて、巣の模様は単一色かマーブル模様です。
最初に羽化した働き蜂が逆とっくり型の巣の細い筒の部分をかじり取って丸い形に巣を成型します。それで、働き蜂が羽化し始まったことが分かります。
巣は貝殻模様の外被を次々に重ねるようにして作られ、一方 巣の内部では内側の外被をかじり取って巣盤を作ります。このようにして、巣は少しづつ大きくなってゆきます。
最大になった巣は、ふつう球状の形でバレーボールかバスケットボールほどの大きさを超えることはありません。活動最盛期でも巣の中の成虫数は100匹前後とこじんまりとしています。
壁や窓枠などの部材近くに作った巣は、巣の発達とともに巣の重量を支えるために外被を背面の部材にくっつけて半球状に変形してゆきます。
都市部ではコガタスズメバチが巣を作ることが多く、山間部ではキイロスズメバチの巣が多いです。
建物の軒下や窓枠など、および雑木や樹木の枝などの開放的な身近な場所に巣を作り、閉鎖的な壁間とか屋根裏、床下などには巣を作りません。
ただし、建物に一面でも開放空間があれば、その中の天井や棚などに巣を作ります。また、窓ほどのわずかな開放空間があれば室内に巣を作られた例もあります。
軒下や天井等の建物に作った巣は、コントラストがあるので、巣を作り始めるころから目に付き見つけやすいです。このような巣は見つけやすく、刺される被害は少ないです。
樹木や雑木に作った巣は、地表から3mくらいまでの低い場所が多いです。サザンカ、キンモクセイ、ツバキなどの雨風をしのげるような広葉樹に巣を作ることが多いです。
樹木や雑木では、枝葉に隠れた場所に巣を作っていて、働き蜂の出入りも目立たず巣を見つけにくいです。そのため、巣があることに気づかずに刺されることが多いです。
福島県では、越冬を終えた女王蜂が5月から巣つくりを始め、営巣期間は12月上旬頃まで続きます。新女王蜂と雄蜂は、9月ごろから羽化し始め、1つの巣で それぞれ100匹前後ほど誕生します。
新女王蜂は、脂肪体を貯え越冬準備が整うと巣を離れて交尾した後、ただちに朽ち木の樹皮の中に潜り込み楕円形の小部屋を作って越冬します。新女王蜂たちと雄蜂たちは、巣を離れ戻ることはありません。
春先に巣を作り始めた創設女王蜂も秋には寿命がつきます。女王蜂は、秋に誕生して翌年の秋には尽きてしまう1年の寿命です。働き蜂や雄蜂の寿命は、数か月と短く越冬することはありません。営巣期間が終わった巣は、残っていた働き蜂も寿命で死に絶え空っぽになります。
そして、1回使った巣は、2度と使われることがない廃巣となって風化してゆきます。
コガタスズメバチの巣に静かに近づけば、1m先くらいまでは余裕で、さらに巣と目の先まで警告あるいは攻撃されずに近づくこともできます。
コガタスズメバチは、直接巣を揺する、あるいは枝や壁を通して伝わる振動が巣を揺するなどの刺激が加えられたとき、おとなしさを豹変させ攻撃的になります。
このような「壁を通しての振動」という刺激でのコガタスズメバチの攻撃性を出入り口付近の軒下にあったコガタスズメバチの巣で検証しました。出入り口の引き戸の開閉の刺激が壁を通して蜂の巣に伝わって刺されてしまった事故を再現動画で紹介します。
巣に近づいても警告してこないおとなしさがゆえに、すぐそこにある巣に気づきにくいです。さらに生垣の剪定や雑木がある草刈り現場などでは、枝葉に隠れている巣を見落とすことが多いです。そのため、剪定や草刈り作業で近くにあった巣のついた枝を揺すってしまい、いきなり襲われても逃げ切れずに刺されることが多いです。
1回目の巣を刺激で巣穴から巣外にゾロゾロ出てきて、2回目以降の刺激に敏感に反応して巣を一斉に飛び立ち攻撃してきます。その刺激が繰り返されるほど反応が早く攻撃性が激しくなります。
このような剪定や草刈りによる「枝葉を揺する」という刺激でのコガタスズメバチの攻撃性を庭木に作ったコガタスズメバチの巣で検証しました。巣がついている枝葉を揺すった時のコガタスズメバチの攻撃性を動画で紹介します。
9月以降の繁殖期になると、巣に静かに近づいても、まれにスズメバチが警告してくることがあります。
このコガタスズメバチの巣に何らかの形で「巣が揺すられる刺激」が与えられると襲われます。
コガタスズメバチに刺された現場には、以下のような特徴があります。
①剪定時に枝に巣があることを知らずに枝葉を揺すって刺される。
②樹木や庭木の巣に近づいても反応がなく巣があるとは思わず、ヤブガラシなどのつる性の雑草をひっぱって庭木の枝に作った巣を刺激することで刺される。このコガタスズメバチによる刺傷事故が起きるメカニズムを動画で紹介します。
『雑草がからむ生垣にコガタスズメバチの巣があったので雑草を引っ張ってみました in 鏡石町』
③玄関等の人が出入りする近くに巣があると、ドアや引き戸の開閉で生じる振動刺激が巣に伝わって刺される。
④庭木などの枝葉に隠れた巣を駆除するため、巣穴をふさごうとしたり、邪魔な枝葉の剪定しようとして巣を刺激してしまい刺される。
5月から巣つくりが始まり6月中旬ごろの働き蜂が羽化するまでは女王蜂が単独で行動します。働き蜂が羽化してない限り、巣は逆とっくり型という特徴的な形をしています。
このような巣を6月中旬ごろまでに見つけることができれば、女王蜂だけしかいない巣なので駆除は容易です。
成虫数が少なくおとなしいスズメバチであるため出入りが目立たず、巣があることに気づいたときには大きな巣になっていることが多いです。
庭木など見えにくい場所に作った巣を見つけるポイントは、飛び回るスズメバチを見つけたら「巣を作っているのでは?」と疑って追いかけてみることです。
スズメバチが飛んでいれば、必ず近くに巣があるとは限りません。ただ餌を探しているのかもしれません。餌を探しているときは、あっちにこっちにジグザグに飛びます。巣があれば、その場所に迷うことなく直線的に集中して出入りします。
そして、見えにくい場所に巣がある場合は、 あらゆる方向からあやしい部分を観察すると、巣を揺するなどの刺激を加えなくとも「巣へのハチの出入り」「蜂の巣」が見える方向があることが多いです。
コガタスズメバチはいろいろな昆虫やクモなどを幼虫のエサとして狩る「なんでも食べる派」です。
コガタスズメバチは敏捷性が高く、ハエ、アブ、ハチなどの成虫を幼虫のエサとして狩ることが多いです。その他の昆虫やクモやガの幼虫なども狩ります。
巣に出入りする二ホンミツバチやセイヨウミツバチを単独で狩るだけで、オオスズメバチのように全滅させることはありません。
ヤブガラシやアレチウリの花などの蜜を吸うこともありますが、それらの花に集まってくる昆虫も狩ります。
炭水化物源としては、クヌギ等の樹液、アブラムシ等の甘露、ブドウ等の熟果、ヤブガラシ、アレチウリ等の花蜜を舐めます。
コガタスズメバチは、山間部よりも都市部に巣を作ることが多いスズメバチです。以下のようなことが都市部になじむ理由ではないでしょうか・・・
①「なんでも食べる派」で餌を選り好みしない。
②所帯がこじんまりとしているので、緑の少ない都市部でも必要な餌量を集めるのが難しくない。
③家屋の開放的なさまざまな場所や庭木の枝葉に隠れた場所に巣を作れる適応力がある。
④所帯が小さく出入りが少ないことや巣に近づいても警告するような派手さがないので巣に気づかれにくい。そのため、巣に気づくまでには新女王蜂を羽化させることができる。
⑤都市部なのでオオスズメバチなどの外敵から襲われることや自然災害の影響が少ない。
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