〒963-8061 福島県郡山市富久山町福原字境田50-2
和名: ヒメスズメバチ
学名: Vespa ducalis
英名: Black-tailed hornet
分類: ハチ目 スズメバチ科 スズメバチ属
分布: 本州,四国,九州,対馬,石垣島,西表島
体長は大きく、オオスズメバチに次ぐ大きさです。体長は、女王蜂で32~35mm、働き蜂で25~33mmあります。女王蜂と働き蜂の区別は、大きさが同じくらいなので難しいです。オオスズメバチよりも頭が小さく、細身です。
ヒメスズメバチは「大きなスズメバチ」「頭全体がオレンジ色で はげあがった頭のように見える」「お尻の末端が黒い」という特徴を視点にすれば見分けやすいです。
ヒメスズメバチは、土中、屋根裏、床下、樹洞、切り株の中、壁間など目につきにくい閉鎖空間に巣を作ります。
所帯が小さいので巣を作っていてもヒメスズメバチの出入りに気づきにくいです。最盛期ごろ、出入りが目につくようなって初めて気づくことが多いようです。
ヒメスズメバチの巣は、見える出入り場所から かなり離れた見えない場所に作っていることが多いです。そのため、巣の場所を特定することが難しく、駆除が厄介です。
例えば、床下に通気口から潜ってゆくので「巣は床下にあるはず」と思うと、実際は通気口から離れた「壁の中に巣があった」のようなことが多いです。
ヒメスズメバチはアシナガバチが主食ですので、福島県内での営巣時期はアシナガバチに同調して5月~10月頃までと非常に短いです。スズメバチの中では、営巣を開始するのが最も遅く、営巣する期間が最も短いのが特徴です。
最盛期でも成虫数は数十匹とスズメバチの中で最も少ない所帯です。所帯が小さくて出入りが少ないのでヒメスズメバチに遭遇する確率も低いです。
秋の繁殖期には、新女王蜂と雄蜂は、1つの巣で それぞれ数十匹前後ほど誕生します。
羽化した新女王蜂たちは、越冬準備のため巣内にしばらく滞在し、越冬を乗り越える十分な栄養を体内に貯蓄します。
それから巣を離れ、雄との交尾で受精嚢という器官に精子を貯蔵し、ただちに土中などに越冬します。新女王蜂たちと雄蜂たちは、巣を離れたら戻ることはありません。
来年に子孫をつなぐ女王蜂(新女王蜂)は、秋に誕生します。そして、翌春に越冬を終えた女王蜂(創設女王蜂)は、巣作りを始めて秋まで家族を増やし、命が尽きます。女王蜂の寿命は1年です。一方、働き蜂や雄蜂の寿命は、数か月と短く越冬することはありません。
営巣期間が終わった巣は、残っていた働き蜂も寿命で死に絶え空っぽになります。そして、1回使った巣は、2度と使われることがない廃巣となって風化してゆきます。
ヒメスズメバチは、スズメバチの中では最もおとなしいです。警戒心が強く、人が巣の近くにいると巣になかなか戻ろうとしないほどです。
人が巣に近づきすぎると、そのことに気づいたヒメスズメバチは しつっこくまとわりつくような威嚇行動をとることがあります。でも、他の種類のスズメバチほど攻撃的ではなく、何もしない限り刺しにくることは ほとんどありません。
ヒメスズメバチは体が大きいので怖がられますが、巣の近くで遭遇したとしても何もせずに静かに立ち去れば大丈夫です。
わたしは、ヒメスズメバチ駆除では防護服を着ることは少ないです。作業服にネット付き帽子をかぶり、手袋はハチ駆除専用手袋という服装でヒメスズメバチを駆除しますが、今まで一度も刺されたことがありません。
あまり攻撃でないとしても毒針を持っていて刺傷被害もありますので気を付ける必要はあります。ヒメスズメバチによる刺傷被害の件数はスズメバチの中で最も少ないです。
戸袋に作ったヒメスズメバチの巣を探査して駆除する様子を動画で紹介します。その探索から駆除までの風景からヒメスズメバチの攻撃性が低いことが分かります。
『白河市でスズメバチ駆除- 雨戸の戸袋からスズメバチが出入りしている!』
ヒメスズメバチは、アシナガバチだけをねらって狩りをする徹底した「グルメ派」です。アシナガバチだけを襲って他の昆虫を襲うことはありません。単独でアシナガバチの巣を襲い、オオスズメバチのように集団で襲うことはありません。
ヒメスズメバチは,アシナガバチの巣にいる幼虫と蛹がねらいで成虫を襲うことはありません。成虫を襲わない理由は、成虫に幼虫を育てさせようとしているのではないかと思われます。そのため、一度見つけたアシナガバチの巣には何度も訪ねて成長した幼虫と蛹を襲います。
アシナガバチの巣を襲ったヒメスズメバチは、幼虫や蛹を巣から引き抜いてかみ砕き,その体液を吸いつくし、肉団子にすることはありません。その体液は,食道の一部が袋状になっている素嚢(そのう)という器官に一時的に貯めます。素嚢(そのう)に貯めていた体液を吐き戻して口移しで幼虫に与えます。
クヌギ等の樹液、アブラムシ等の甘露、イチジク等の熟した果日、ヤブガラシ等の花の蜜などを炭水化物源としています。
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